キャンペーン

「多分……いや、絶対、最終的には一緒に音楽やることを選ぶと思います。ただ……そいつが一番、決断に時間かかるタイプだから……なんていうか。四人で一緒にやりたいから、ちゃんと待ちたいんです」

「普通に音楽で稼ぐの羨ましいとか色々思わんでもないけど、なんていうか、あいつが今ステージに立つのは必要な気がする。真冬にも上ノ山にも。」

「なんとなく漠然と、ケガをしても全部元通りになると信じていた。かさぶたができて、それが剝がれれば、全部もとに戻るんじゃないか。どんなに嫌なことがあっても、どうしてか、心のどこかでは。全然そんなわけないのに。取り返しがつかないことは、ある。進んでしまったら、必ず何かが永久的に変わってしまう、それでも、一生を歌に捧げられるのか。好きな人を失わずに、一生を。」

「歌がうたいたい、うたいたい。一緒に音楽がしたい、一生。一生、絶対に後悔させない」

「ステージに立って、音楽があってはじめて、それまで言葉にできなかった色々なことに気付いた。たぶん、救われたと思う。……だから、上手く言えないけど。ありがとう、冴子さん。ギターをくれて、ありがとう。」

「いなくなってもう会えないと思ってた人が、音楽の中に残ってるのを見つけた、見つけられた、あんなにはっきり。だから、寂しくても、二度と会えなくても、これから何を失くしたとしても、音楽さえあれば、その記憶は音の中に残るって信じられた。だから自分も音楽の中に、音楽の世界に、生きてたい、……です。」

「ちゃんとあいつのとこまで届いた、と思う。あの顔が見れてよかった。それに、未完成だったままのアイツを、ちゃんと真冬に返してやれたとも。俺は結局、由紀のことについてはよく知らない。ただ、燃えるようにあの曲を好きだと思った。あの曲を見つけられてよかった。」

「全部、ぜーんぶ俺のわがままなんだけど、俺のわがままなんだけど　真冬に聴いてもらいたいんだよなぁ、俺のために」

「それどっちみちもう、戻れないよ。選んでも選ばなくても、今この瞬間も何もかも変わってくし、来た道も二度と元通りには戻らない。それに立ち止まったままってのも…それはそれで相当しんどいからとりあえず…俺は進むだけ進んでみるのをおすすめするかな～」

「……俺はここで待ってるから。お前の腹の穴の中で。お前のうたを聴いてるから。ここまで聴こえるように、叫び続けてくれよ」

「たまにさ、天啓みたいに、自分の役割みたいなのを意識する時があって。誰かの決断を後押しする場面に関わった時とか、誰かの大きな変化の機会に関わっちゃった時とかも。あー…なるほど、このために自分がいたんだろうなぁとか腑に落ちたりして。大抵そういう時って自分は脇役なんだけど。俺はそういう瞬間、嫌いじゃないんだよなぁー」